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嗅覚のしくみ


嗅覚とはにおいの感覚です。においを感じることは身のまわりの危険に気づくために重要ですが、味覚などその他の感覚器ほどには解明されていません。


鼻の内側の粘膜には線毛という突起をそなえた嗅覚受容器とよばれる細胞があり、においを感知するはたらきをしています。
空気に含まれているにおい分子が線毛に触れると電気信号が発生し神経につたわります。


その信号が嗅球から嗅神経を通じて脳へと送られ、においを認識することができます。
1種類のにおい分子を、人間には350種類あるとされるにおい受容体の複数の組み合わせで認識することで、かぎ分けることが可能になるのです。


嗅覚のしくみ
このようなにおいの識別のしくみを、嗅覚受容器の遺伝子を解析することで明らかにしたのが、アメリカのコロンビア大学のアクセル博士とフレッド・ハッチンソンがん研究センターのバック博士です。両博士はこの研究によって、2004年度のノーベル医学生理学賞を受賞しました。


香りの歴史


香りとは…


香りを表す言葉『Perfume(パフューム)』はラテン語で「Per fumum(煙を通して)」という意味です。
古代において香りは、祈りや儀式と深い関わりをもっていました。



BC4026年  花の甘い香りを楽しむようになる。


BC2600年頃  古代メソポタミア世界最古の医学書では250種以上の植物が薬とされていました。


BC2000年頃  お香の文化がはじまり、シルクロード近辺や古代エジプトなどでは香油を体に塗ったり部屋に香りを満たすことでリラクゼーションを得ていました。また、敢えて腐敗した脂肪など悪臭のする物を体内に取り入れ、病原を体内から追い払うという処方もあったようで、正に、毒をもって毒を制していた。


香りの歴史1
ツタンカーメンに香油を塗るアンケセナーメン


香りの歴史2


香りの歴史3
1603〜1666年 ペストの大流行。特効薬が見つからない状況で対応策として多くの芳香物質が使われていました。


1937年 フランスのモーリス・ガットフォッセが『アロマセラピー』という言葉を造語しました。


1986年 第一回「香りの心理学」学会で『香りの脳に及ぼす影響』が発表されました。民間療法として利用されてきた香りに治療医学としての道が開かれました。


2000年 木々の青葉から抽出した香りをストレスで弱ったラットに嗅がせるとストレスが解消されました。


香りの不思議


嗅覚と遺伝子


医学の専門家によれば、人間の遺伝子は約2万2千個あるといわれ、その中で

視覚についての遺伝子は4個、
味覚についての遺伝子は28個であるのに対し、
匂いについての遺伝子は388個

もあることが判明しています。


                         (高田明和 浜松医科大学名誉教授)


つまり、匂いに関する遺伝子が全体の約2%を占めているということは、嗅覚が人間にとっていかに重要かということです。



嗅覚と脳と体


良い香りには理性ではコントロールしきれない感情を呼び起こす力があります。
それは香りの成分が人の情動や記憶をつかさどる脳の大脳辺縁系に直接作用するからです。
科学的研究によって欲求やけだるさ、好き嫌い、意欲や独創性はこの大脳辺縁系でつくりだされることが実証されています。
大脳辺縁系はまた視床下部と密接にリンクしています。視床下部は自律神経や内分泌、免疫系とも関係しています。



香りと健康


香りと医学


アロマセラピー(芳香療法)とは
植物由来のエッセンシャルオイル(精油)を治療目的で使用する療法。歴史的には西暦紀元前2000年に遡り、ヨーロッパ諸国の中には、医療行為として正式な認知を受けている国々も存在します。


『香りは身体の中で崩れたバランスを整える力がある。現在叫ばれている予防医学の最先端だと思う。』
(カワバタクリニック院長 医学博士 川端一永先生)



●生理作用
香りの刺激は脳下垂体へと伝えられ、自律神経系・内分泌系・免疫系の各システムにメッセージを送ります。


●心理作用
香りは脳の中で記憶を司る海馬というところに伝わり、温い、冷たい、拡がる、縮むなどさまざまなイメージをもたらします。過去にかいだ匂いが脳にしっかり記憶されているのです。


●抗菌作用
エッセンシャルオイルの持つ抗菌力は香りを空中に漂わせるだけでブドウ球菌やサルモネラ菌などの細菌やカンジダなどの真菌の発育を阻止できる位きわめて強力です。
(例)インフルエンザウィルスに対するユーカリなど



●生体リズムの調節作用
ラベンダーの香りが睡眠薬と同じ効果があることは多くの例が示しており、ラベンダーが人間の本来持っている昼夜のリズムを回復させたことを意味しています。(スチュワーデスが時差ボケ解消のためラベンダーの力を借りることも知られている)エッセンシャルオイルには不眠やうつ病などのリズム障害のほかにも抗酸化(老化防止)作用や、免疫調整作用、薬理作用などがあるといわれています。


●嗅覚と脳と体
良い香りには理性ではコントロールしきれない感情を呼び起こす力があります。
それは香りの成分が人の情動や記憶をつかさどる脳の大脳辺縁系に直接作用するからです。
科学的研究によって欲求やけだるさ、好き嫌い、意欲や独創性はこの大脳辺縁系でつくりだされることが実証されています。
大脳辺縁系はまた視床下部と密接にリンクしています。視床下部は自律神経や内分泌、免疫系とも関係しています。




香りと人間


匂いとアルツハイマー病
アルツハイマー病の治療現場では「匂い」が活用されています。日本人なら誰でもが生活の中でしっかり馴染んできた生活臭を嗅がせて、過去の記憶を思い起こさせ脳を刺激します。「ぬかみそ」「かつおぶし」の匂いを嗅いだ痴呆のお年寄りが次第にいきいきとした表情を見せ周囲の人に話しかけるようになった、などの変化が報告されています。


匂いと教育
都市は美観を重視し清潔な街づくりを目指します。しかし、いやな臭いを排除して、いい香りばかりかいでいると脳が正常に発達せず免疫も低下するという説もあるようです。自然の野山に触れる機会が取れない場合アロマセラピーを上手に活用する方法もあります。


好きな香りと嫌いな香り
複数の人にオレンジの精油を嗅いでもらい脳波計でα波の状態を観察するという実験結果があります。結果は以下のとおりです。
(1) α波が増加 リラックスしたグループ
(2) 変化なしのグループ
(3) α波が減少しβ波が優位に ストレスがかかったグループ
その後の聞き取りで(1)のグループはオレンジの香りが好きと回答し、(2)のグループは好きでも嫌いでもない、(3)のグループは嫌いと回答しています。
この実験結果からリフレッシュなどの心への作用を期待するなら好きな香りでないと効果は得られないということが確認できます。



嫌いな香りでも体は回復する
アロマセラピーは自分の好きな精油だけを使うべきか? 答えは「いいえ」です。
それは人間の臭覚は匂いに慣れてしまうからです。上記の実験で被験者の皮膚表面の温度をサーモグラフィで測定すると、全員の皮膚の温度が上昇していました。
つまり精油には、それを使う側の好き嫌いとは関係なく、誰にでも同じように作用すると言えます。
よって嫌いな香りの精油だからといってその効用がまったく期待できないという訳ではありません。



参考資料ダウンロード


DAAパンフレット DAAパンフレット 全8ページ(※PDFファイルが別窓で開きます。)
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