掃除機 |
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| 掃除機(そうじき)は、ゴミやホコリを容器内に回収する電気製品(清掃用具)である。 掃除機を使って掃除をすることを、「掃除機をかける」と言う。 送風機により負圧を作りだして床などのゴミやほこりを吸引し、これをエアフィルターでゴミと空気を分離し、ゴミだけを容器内に回収する真空掃除機が広く使用されている。真空掃除機はバキュームクリーナーとも呼ばれる。 真空掃除機に使われている一般的なモーターは、始動トルクが大きく高速回転が可能な交流整流子電動機(または直流整流子電動機)であり、整流子としてカーボンブラシを使ったものがほとんどである。カーボンブラシが磨耗し切るとモーターが回転しなくなるが、家庭用掃除機においては、モーターの寿命イコール製品寿命と考えてよいほど、モーターの寿命が長めに設計されている。もちろん、カーボンブラシを交換すればさらに長く使うことができる。また、カーボンブラシなどを使わないブラシレスモーター方式の掃除機もあるが、コストパフォーマンスを考えると家庭用というより特殊な業務用に適した方式である。 一般に真空掃除機のモーターは、小型でありながら消費電力が大きいため、発熱が激しく、吸引した大量の空気をモーターに導いて冷却に使用しているのがほとんどである。このため、液体や導電性粉塵を吸引すると、一部がモーターまで達して故障する恐れがある。冷却方式を工夫して液体や導電性粉塵を吸引できる吸水真空掃除機もある。 世界最初の真空掃除機は、1868年にシカゴのアイヴス・マガフィー(Ives W. McGaffey)によって発明された。原理は、手でレバーを引いて真空を作り出し、ノズルからゴミを吸い取って容器に溜めるという簡単なものであった。彼は1869年6月8日にこの特許を取得し、ボストンにあるカーペット清掃会社に売り込むことに成功した。こうして誕生した世界最初の真空掃除機がシカゴとボストンで発売されたが、当時としては$25もする高価なものであり、ノズルをゴミに当てながらいちいち手でレバーを引くのが面倒という欠点のため、やがて市場から姿を消していった。 最初の電気式真空掃除機は、1901年にイギリスのヒューバート・セシル・ブース(Hubert Cecil Booth)によって発明されたもので、布フィルターを備えていた。しかし、当時は電気を引いた家庭は稀であったため、業務用であった。1905年には最初の家庭用の電気掃除機がアメリカのチャップマン・アンド・スキナー社から売り出され、これはポータブル型ではあったが重さが92ポンド(約40キロ)もあった。そして、アップライト型掃除機の原型が1907年にアメリカのJ・マーレー・スパングラーによって発明され、この権利を買い取ったアメリカのフーバー社が1908年に$70で売り出した。これが初の商業用モデルとなった。 日本で発売された最初の電気式真空掃除機は、芝浦製作所(東芝の前身)が1931年に発売したアップライト型(ホウキ型と呼ばれていた)だった。(写真)。また進駐軍家族団地「ワシントンハイツ」に於ける電化製品メンテンス工事を、特別調達庁(SPB)から請け負っていた東京の太平興業が、米国製品を参考に1949年に自社開発、秋葉原等で販売を開始した。ところが当時の日本家屋のほとんどが畳と板間であり、「はたき」や「ほうき」でサッサとゴミを家の外に掃き出す方が簡単で早かったため、真空掃除機は殆ど普及しなかった。しかし、1960年代に団地(公営団地)ブームが起こると、近所迷惑のため家の外にゴミを掃き出すことが難しくなり、ほうきの簡便さが半減したため、まず掃除機が団地に受け入れられた。また、団地や新しい家には洋室が取り入れられ、(土足ではないのに)絨毯が流行したためほうきでは掃除しにくくなり、絨毯の毛の中に溜まったホコリによってノミが大量発生することも多かった。このため、真空掃除機の優位性が高まり、それ以降一般家庭に普及し始めた。 初期の真空掃除機は、使い捨てではない布フィルターなどが使われていたため、ゴミ捨てのときは大量のホコリが舞い、またフィルターを水洗浄をしないと吸引力が回復しないなどの面倒が多く、敬遠する人も多かった。しかし、紙パック式真空掃除機が1980年の初め頃に発売されると、使い捨ての紙パックフィルターによってこれらの問題が一気に解決されたため、ほとんどの家庭に普及するようになった。 ほうきなど、他の清掃用具と比較した際の特徴は以下の通り。 利点 [編集] * じゅうたんや布団などの内部に入り込んだゴミやホコリを取り除くことができる。 * 毎回のゴミ捨ての必要がない。 * ほこりの舞い上がりが少ない。 * ゴミに直接触れたり近づいたりする必要がない。 * 花粉など、目に見えにくい大きさのゴミもきれいにすることができる。 欠点 [編集] * 騒音が発生する。 * 排気から異臭を発生させる場合がある。 * ある程度の重量がある。 * 掃除機本体やノズルが入り込めないところは掃除できない。 * メンテナンスが必要。 ダストピックアップ率 [編集] ダストピックアップ率とは、IEC(国際電気標準会議)が定めた主としてカーペットの清掃能力を表す指標であり、標準として定められたカーペット面に基準量のスタンダードダストを器具で散布しローラーで押し広げた後、一定の速度・動作・回数で掃除機で吸引し、回収できたスタンダードダストの重量の割合をパーセントで表わしたものである。ただし、ダストピックアップ率の高い掃除機が、日本の畳やフローリングで必ずしも高い清掃能力を発揮するわけではない。このため、ダストピックアップ率がJISでは「じんあい除去能力」と訳され、規定もされているが、JISによる性能表示義務がなく、一般市場では使われていない。 なお、JIS C 9108の「C.1.3.2 試験用じゅうたんの前処理」には次のような注記がある。 高いじんあい除去能力をもった掃除機とは、床用吸込具がモーターで回転するブラシをもつもので吸込仕事率が500W以上のものが望ましい。 吸込仕事率 [編集] 吸込仕事率とは、空気力学的動力の最大値、すなわち掃除機の空気を吸い込む能力を表すもので、一般にいわれる吸引力のことである。車に例えれば馬力に当たる。ただし、掃除機の清掃能力はノズルの構造にも大きく依存するので、吸込仕事率に清掃能力が比例するとは限らない。このため、掃除機のメーカーは、吸込仕事率を高める研究だけでなく、清掃能力の高い床用ノズルの開発にも余念がない。一般的に、吸込仕事率の高い掃除機の方が、ひとつのノズルで様々な種類・大きさのゴミや、様々な床に対応することが容易になる。 吸込仕事率は、掃除機の本体の吸引パイプに測定装置を接続し、バルブを操作して風量と真空度を変えながら、風量×真空度が最大になる値を求めたもので、単位はW(ワット)である(詳細はJIS C 9108「付属書A(規定)吸込仕事率の測定方法」参照)。吸込仕事率は次の計算式で算出される。 〔吸込仕事率=0.01666×風量(m3/min)×真空度(Pa)〕 吸込仕事率はJISによって性能表示が義務付けられている。 騒音値 [編集] 騒音値とは、無響室において最大風量で運転している掃除機本体から1m離れた場所の音量を表したものであり、ノズルを床から10cm上方に浮かせて固定し、回転ブラシを止めた状態で測定され、単位はdB(デシベル)である(詳細はJIS C 9801 の「付属書B(規定)騒音測定方法」参照)。 なお、JISでは家庭用掃除機の騒音は次の値以下でなければならないと規定されている。 騒音値はユーザーに取って分かりやすく、しかも有用な指標だが、JISによる性能表示の義務付けがないため、騒音値が大きい製品などでは公表されないことがある。 用途 [編集] * 家庭用掃除機 : 一般の家庭や小規模な商店などで使用される掃除機で、多くは本体が軽いプラスチックでできているため、取り回しが容易である。 * 業務用掃除機 : 清掃事業者が使用する掃除機で、業者登録に必要なものである。本体は金属製のものが多く、モーターなども寿命が長いなど、耐久性を重視した設計になっている。 * 産業用掃除機 : クリーンルーム用、防爆用、防じん用、トナー用など特殊用途の掃除機がある。 動力 [編集] * 商用電源 : 強い吸引力を長時間持続して掃除することができるが、屋外排気型を除けば、電源コードの扱いがやや面倒である。 * 充電式 : 蓄電池を充電して使うため、電源コードの引き出しや収納の手間がなく、掃除をすぐに始めたり、電源がない場所の掃除をしたりすることが可能である。充電式は片手持運び型に多いが、縦型や床移動型の製品もある。しかし、蓄電池の容量の関係から、一般に吸込仕事率が弱く、連続使用時間も短いものが多い。また、くり返し使用して蓄電池が劣化した場合は、蓄電池を新しく交換する必要がある。 * エンジン : 自走式の業務用掃除機の一部に使われている。 本体の型 [編集] * 床移動型 (キャニスター型) : 本体が横に長い掃除機を、ホースを引っ張って移動させる形式で、丈の低い家具が多い和室の掃除に適している。背が低いため、押入などへの収納が便利であるなど、日本の家庭用として最も人気がある。 * 円筒床移動型(キャニスター型) : 縦の円筒形をした本体を、ホースを引っ張って移動させる形式で、日本の業務用に多く見られる。 * 縦型(アップライト型) : 縦に長い本体の底面に床用吸込口があり、本体の上部に付いたハンドルで操作する一体形で、立てたまま収納する。北米に多い。(JIS のほうき形に相当する) * ほうき型(スティック型) : 縦型の軽量なものを指す。 * 片手持運び型(ハンディー型) : 片手で持ち運んだり、使用することが可能な小型の形式。コードレスのものが多く見られる。 * 肩掛け型(ショルダー型) : 肩掛けで使用できる。建物内・高所の使用に適する。 * 背負い型(リュックサック型・ヒップバック型) : 航空機・車両などで用いられる。 * 屋外排気型(セントラルクリーナー型) : 屋外に集塵装置を設置し、そこから各部屋に配管工事した穴にホースを差し込んで吸引する方式。排気によって部屋が汚れないメリットがあるが、装置と工事費が割高なことと、長いホースを持ち運ぶのがやや面倒。 * 箱型自走式 : 人間が操縦する自走式のもの。大規模建築物・屋外などで使用される。 * ロボット型 : 自立的に掃除を行う。多くは業務用であったが、2000年代に入り家庭用のものが市販されるようになった。 吸込口 [編集] メーカーにより、ノズル、ヘッド、ブラシなどとも呼ばれている。ほとんどの床移動型家庭用掃除機には床用吸込口、棚用吸込口、すきま用吸込口が標準で付属する。 * 床用吸込口 : 最もよく使用される吸込口で、吸込口のすきまに速い気流が生じて、ホコリやゴミが吸引されるほか、回転ブラシを備えたものは、掃く、拭く、かき出す、叩くなどの効果があるため、さらに効率よくホコリや髪の毛などを吸引できる。回転ブラシは、モーター駆動方式と、小型の風車に気流を導いて回転させる駆動方式がある。吸込仕事率が小さい掃除機は、吸込口のすきまが狭く設計されていることが多いため、大きいゴミを吸い込みにくい。 * 棚用吸込口 : 吸込口の回りに柔らかいブラシが付いているため、棚や家具に付いたホコリを掃くように掃除できる。 * すきま用吸込口 : すきまに入るように先が狭くなっている細い吸込口で、最も速い気流が生じるためゴミを強力に吸い取ることができる。 * ふとん用吸込口 : ふとんに吸い付かない機構を持ち、ふとんや毛布を効率よく掃除できる。ふとんを叩く機構を持ったものもある。
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